日本人とは

はじめに

先日、「文系ウソ社会の研究」と言うセンセーショナルな書名の著者が、去年(2010)、「日本人ルーツの謎を解く―縄文人は日本人と韓国人の祖先だった!」と言う図書を上梓したようで、その内容を読んでみた。過去の有力説に対する批判が並んでいた。常識的には、何千年、何万年前のことを論じるのだから万人を納得させるということは不可能かと思う。どの説を信じようが人それぞれと思うが、同書『第7章 統計的「偽」・宝来聡氏の「DNA人類進化学」』では、宝来説が強く批判されている。その前章の埴原和郎氏の「二重構造モデル」などは一般的にも過去の理論と思われているが、宝来説はどうなのであろうか。そこで、「DNA人類進化学」(岩波書店)を参照しながら宝来説の結論とするところを各論で見てみると、

日本人の二大系統

『某市の一産院で集めた胎盤に由来する日本人(116名)のミトコンドリアDNA塩基配列で62種類の異なったタイプに分類された。二人に一人は違うタイプである。
系統樹にすると二つのグループに分かれる。グループⅠとグループⅡ。
一番古いルーツ(二つのグループが分かれたところ)は125,000年前である。』

言わんとすることは、現在の日本人は混血等が進んで厳密に言うと二人に一人は別タイプの人であると言うことでしょう。時代が遡るにつれタイプ(種類)の数は減り、最終的には二タイプに分類されると言うことかと思う。その二タイプが分かれたときは今から125,000年前という。無論、日本列島には、12万年前の遺跡はなく、化石も不明で、人が住んでいたとは思われないのでどこかほかの場所で分岐したものか。あるいは、同じ人種が甲地と乙地に住んでいて、甲地の適者生存者と乙地の適者生存者の形質が変わった(ミトコンドリア塩基置換?)のが12万年前かは定かではない。そもそも、モンゴロイドは寒冷地域に特化したコーカソイド(白人)や熱帯地域に特化したネグロイド(黒人)とは異なり、寒冷地域に適応した人と、熱帯地域に適応した人がいたもののようである。もっとも、現今の有力説はモンゴロイドの元祖は現在の東南アジアあたりにいた人(ジャワ原人?熱帯地域に適応?)たちで、モンゴロイドで寒冷地域に適応した人とは東南アジアあたりにいた人たちが北上して寒冷地域に適応した、と言う「一元論」とも言うべき見解を述べている。まあ、この説はデータを握っているので何ともいえないが、日本語がそのグループに入るかも知れない「アルタイ諸語」が話される地域は現在のトルコから日本まで西から東に一直線になっている。これはこういう足跡で人間が移動したと言うことではないか。従って、モンゴロイドの二大系統は12万年前かどうかは別にしてどこかで分岐をしたものではあろうが別々と考えるのがいいのではないか。上述の宝来説は、日本人には南方由来の人と北方由来の人の遺伝子が超早期に混じり合っている、あるいは分岐した、と言うことを言ったまでではないのか。

三大人類集団の分析

『ヨーロッパ人、アフリカ人、アジア人の分析。三集団全体で117種類のタイプが同定された。それぞれのタイプはそれぞれの人類集団に特有のもので、二つ以上の集団で共通のものは一つもなかった。
117タイプの系統樹を作成すると、八個のグループに分けることができた。ほとんどのアフリカ人は系統樹の上で最初に分岐する。次いで(第二)日本人(グループⅠ)が分岐する。次いで(第三)別のアフリカ人、日本人(グループⅡ)、ヨーロッパ人が分岐している。第二に現れるグループⅠの日本人は人類集団全体で見ても特殊な位置づけとなり、非常に古く分岐した系統である。一番古い三大人類集団のミトコンドリアDNA系統樹のルーツは約17万年前である。
・・・沖縄の82人は39種類のタイプに分類された。系統樹を描いたところ二大グループは存在したが、グループⅠの割合はわずか5%で、グループⅠが縄文系であるなら沖縄では本土よりもその割合はずっと高くなるはず・・・』

グループⅠの日本人は、我々日本人としてはその古さを誇るべきなのか、はたまた、その旧式と言おうか人類の進歩ないし効率化に乗り遅れた人と言うべきか、判断に迷うところであるが、これが縄文人であるかどうかは検討の余地があろうかと思う。とは言え、常識的にはグループⅠは縄文人、グループⅡは弥生人と考えるのが普通ではないか。
次いで、沖縄人と言おうか琉球人と言おうか、今の沖縄県民は奈良時代ないし平安時代に現在の鹿児島県から移住してきた人たちが主流という説もある。従って、沖縄人が縄文人の末裔とは言いがたいものがある。第二尚氏の初代国王は尚円王という前は金丸と言ったという。メジャーではないかも知れないが「金丸」姓は鹿児島県にもあり、沖縄と鹿児島のつながりを連想させる。従って、沖縄県民は縄文人弥生人で分けるなら弥生人であり、上記宝来説は沖縄県民イコール縄文人の固定観念にとらわれているのではないか。

日本人を含むアジア系の集団が大きく二つのグループに分けられる

『縄文人とアイヌ人に代表される日本の先住民は現代日本人のグループⅡに相当することになる。弥生時代以降に大陸から移住してきた人たちの一部が現代日本人のグループⅠに該当するのかも知れない。縄文人と東南アジアの一部の人が共通の遺伝的起源を持っている。たまたま、縄文人と東南アジアの現代人の一部の遺伝的起源が同じと言うことであって、東南アジアから縄文人の祖先が北上して日本に渡来し、縄文人になったと言うことではない。』

私見ではそもそも日本列島にはまず縄文人が北海道、東北、関東とやって来て、関東以西が適地と判断し、移住したのであり、その後第二波移住者としてアイヌ人がやって来たものと思う。アイヌ人は条件の厳しい北海道と東北に居住し、縄文人は温帯の関東以西に居住して共存を図ったのではないか。それに、アイヌ人と縄文人は我々の共通の祖先と言ってしまえばそれまでだが、人種が違うのではないか。アイヌ人の「長頭」「高い鼻梁」「多毛」「目元のくぼみが深い」などは本来の縄文人にはない特徴だったのではないか。日本にはどこへ行っても髭の濃い人が多いのはアイヌが全国的に居住していた証拠、と言う人もいるが、これは後世のアイヌ人移住政策の結果かと思う。西日本に「佐伯」の地名が散見する。また、いわゆる「海上の道」を通って東南アジアから移住者があったなどと言うことはほとんど考えられない。東南アジア由来のものとして「手焙式土器」をあげる人もいるが、沖縄や九州では発見されない。ちなみに、手焙式土器は東南アジアでは貴金属加工の加熱細工用に使われているらい。

日本人の起源

『1.混血説 現代日本人は異なる移住者たちが混じり合った結果形成された 2.転換説 更新世の終わり頃に中国南部から移住してきた単一の古代人の集団から徐々に変化した 3.置換説 日本全土で先住系の集団が渡来系集団により完全に置き換わった。
本土日本人において、弥生時代以降に渡来人によってもたらされたミトコンドリアDNAの割合を算出すると65%と言うことになった。』

現代の世界において、純粋民族なんて言うのはどこにもいないと思う。その意味では日本人も混血民族と言うべきではないか。また、弥生時代以降の渡来人のミトコンドリアDNAが65%と言うのも、中国や韓半島から来た女性は縄文人の女性に比べ多産で女性の出産数も多かったのではないか。それが上記の結果になっていると思う。但し、上述のグループⅠを少産、グループⅡを多産とするならそれは125000年前に分岐し始まっていることなので、弥生時代以降の渡来人のミトコンドリアDNAが65%と言うのも昨今の渡来弥生人は少数という意見によれば一考を要するのかも知れない。即ち、既に縄文時代にも多産の人と少産の人がいたと言うこと。でも、一般的には狩猟採集民族(縄文人)は少子傾向にあり、農耕民族(弥生人)は多子傾向にあると言われている。日本の場合、縄文人も水田稲作を始めていたという説もあり見極めは難しい。また、いわゆるmtDNAのハプログループ分析なるもので、各地域の近縁に差があるとのことだが、当時の女性の移動状況を考えると当然のことと思う。あっちこっちへ移動したのは男性であって、女性が生涯を通じて生活をしたところは限られた場所であったと思う。男女が対で移動するなんて仮説を述べる人もいるがまったく現実的でない。それに、ハプログループM7aが黄海、東シナ海が陸地であった頃そこで発生し、沖縄を経由して日本に来たと言うのもおかしい。古代において沖縄から本土に物が入って来たという遺跡はほとんどない。女性だけが移動したとも考えられない。さすれば、ハプログループM7aは日本発生としか考えられない。余談になるが、北海道縄文人のmtDNAハプログループのM7a6.8%(札幌医科大学7.4%)というのは、金売吉次ならぬ乾物屋吉次がコホウラ貝の腕輪とともに沖縄、西九州、北九州のいずれの地からかだまして連れて行った女性の子孫ではないのか。また、関東縄文人のmtDNAハプログループがやたらに多いのは当時の日本の中心が今と同じ関東にあって日本全国から人が集まったからではないのか。

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