垂仁天皇の時代と外国人

垂仁天皇になると急に外国人の名前が出てくる。
 
例(主として日本書紀による)
 
二年条 任那人蘇那曷叱智(崇神六十五年既出)
    意富加羅国王子都怒我阿羅斯等(亦の名于斯岐阿利叱智干岐)
三年条 新羅王子天日槍
    但馬諸助(子)、日楢杵(孫)、清彦(ひ孫)、守(玄孫) ← 日本書紀による
            多遅摩母呂須玖(子)、斐泥(孫)、比那良岐(ひ孫)、 ← 古事記による
    毛理(玄孫)、比多訶(玄孫)、清日子(玄孫)     
八十八年 清彦に神宝を献上させる
九十年 守を常世国に派遣し、非時香菓を求める
 
 天日槍が来朝してから85年後にひ孫が、87年後に玄孫が現れている。これをどう解釈すべきか。垂仁天皇一代の記録と解釈するなら、清彦や田道間守が成長するのにそれなりの時間が掛かったと考えるべきか。はたまた、数代の天皇に渡る話をここにひとまとめにして記載したと解すべきか。私は諸助、日楢杵、清彦、守は兄弟で、順に長男、二男、三男、四男かと思う。特に、諸助を魏志倭人伝の難升米とするならば、彼は余りにも魏に重用されているので、彼一人は中国語を母語とする中国本土ないし帯方郡生まれの人物かも知れない。今でも国際関係に携わる人にあっては語学堪能者が重用される。
 そもそも、日本書紀(この部分の原筆者は物部十千根命か)ではこの時点の外国とは任那、加羅、新羅の韓半島南部の地域だけで中国(魏)は知らないところだ。また、天日槍が来朝した折には可成りの従者が随行しており(近江国の鏡村の谷の陶人は、天日槍の従人なり)、彼の息子がいてもおかしくはない。
 ところで、魏志倭人伝では度重なる日本と魏の往来が記されているが、記紀では来朝は三件とまずまずだが、訪中は田道間守の常世国への一回だけである。
景初二年(238)六月 難升米等派遣
景初二年(238)十二月 難升米等帰国
正始元年(240) 梯儁等来朝
正始四年(243) 伊聲耆等派遣
正始六年(245) 難升米は郡もしくは倭の卑弥呼とは別のところにいたか。
正始八年(247) 載斯烏越派遣
正始八年(247) 張政等来朝。難升米は卑弥呼の代理人か。仮授とか拝仮の文字あり。
不明      張政等帰国。倭の掖邪狗等同行。 
これはどのように解すべきか。
結論から言うと、やはり崇神垂仁朝(三輪王朝とも)の原記録者は倭の外交については何も知らなかったと言うべきでは。当時の外交交渉は葛城に住んでいた卑弥呼と但馬に住んでいた天日槍とその仲間だけが執り行っていたとしか考えられない。即ち、当時は卑弥呼の葛城と崇神らの三輪が存立していたが、二朝並立ではなく国政は葛城朝がになう上下関係があったと思料される。もっとも、記紀の崇神・垂仁記は多分に魏志倭人伝に酷似しており、或いは、後世、物部目大連が魏志倭人伝を自分流に翻訳したものを大伴室屋大連に突きつけたものとも考えられる。物部氏のご先祖(物部十千根)を美々しく飾ろうとしたためか。難升米以下の日本の外交官が出てこないのは、自分たちの先祖とは関係がないと認識したか。日本の歴史はその前にも崇神天皇が中国の例に倣い編纂した形跡があるが、現在記紀に見るような大がかりな編纂は大伴室屋が最初ではないか。但し、記紀にはそう言う記録はない。室屋の編纂に横やりを入れたのは同僚の物部目で、我が国草創期を大伴一族で占められたら困ると考え、物部十千根をだしてきたのであろう。室屋も負けじと神武天皇と大伴氏の祖という道臣命の話をねじ込んでいる。万葉集の元原稿が大伴氏なかんずく家持の手元にあったように、帝記・旧辞の元原稿も大伴氏にあったのではないか。万葉集に関する限り大伴家持が彼一代であたふたと元歌を集めたとは考えられない。その後の歴史編纂では蘇我や中臣など新興勢力が台頭し、この二氏は排除されているが事績は残ったと言うべきか。古事記では「語り部」などと言っているが、大伴氏には「書き部」とも言うべき特殊な部曲がいたのだろう。こんな膨大な内容を口承だけで伝えることは無理である。どんな文字を使っていたのかとか、木簡や竹簡は発見されているのかとか、いろいろ問題もあろうが我が国の最初の記録媒体は木の葉だったのではないか。文字が薄くなったり葉が変質したりしたら新しく作り直し、それを代々続けていた人がいたかと思う。木の葉だから残らなかったとは思う。文字も漢字を使用したものと推察されるが、いわゆる万葉仮名のようなものだったかは不明である。兵庫県豊岡市の袴狭遺跡では西暦300年代のものという船の線刻画の板が出土している。文字らしきものが書かれた板ならなおさらよいのだが。
 
 
 
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